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目指したのは、ミルクのやさしい風味をいかした新しいデザート 「ジャージー牛乳プリン」誕生秘話 vol.1

オハヨー乳業のジャージー牛乳プリンは、1999年発売のロングセラー商品です。すでに20年以上の歴史がある看板商品のひとつですが、その道のりは平坦ではありませんでした。

鍵になるのは、おいしいデザートをつくるため諦めない粘り強さと工夫の積み重ね。それが今のヒットにつながっています。

今回は、ジャージー牛乳プリンの生みの親ともいえる、オハヨー乳業の古川顧問とデザート開発課の戸田さんのおふたりに、開発当時のお話をお聞きしました。

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(左)オハヨー乳業株式会社 顧問 古川廣志
(右)オハヨー乳業株式会社 研究開発本部 デザート開発課 戸田啓伸

ジャージー乳の魅力をいかした商品開発

―― 「ジャージー牛乳プリン」は、いまではオハヨー乳業の看板商品のひとつですが、使用しているジャージー乳は非常に希少で、それまでのオハヨー乳業でもあまり使用していなかったと思います。まずは当時の状況を教えていただけますか?

古川 ジャージー牛は飼養頭数も少なく、いまも市販のチルドデザートで全国に流通しているものはほとんど見かけません。ただ、そのミルクの味わいは豊かで、やさしい風味もあってとてもおいしい。岡山県は、県北の蒜山高原を中心に全国に先駆けてジャージー牛を使った酪農に取り組んでいましたので、乳製品を手掛ける私たちとしては「地元ならではの商品を作りたい」という思いはありました。

そこで、弊社では1993年にジャージー乳を使用したヨーグルト、アイスを発売。以来、四半世紀以上に渡ってジャージー乳の魅力をいかした商品づくりを行っています。

戸田 ジャージー牛のミルクは、一般的な乳牛であるホルスタインと比べても乳脂肪が高く、まろやかなおいしさがあります。ミルク特有の甘くやさしい香りもある。「ジャージー乳を使ったデザートをつくるなら、この特長をいかした味づくりをしよう」と考えたことを思い出しますね。

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岡山・蒜山(ひるぜん)高原のジャージー牛。淡い茶色の体毛/小柄で人なつっこい乳牛です。

古川 ただし、ジャージー乳を使用するなら工場では通常のホルスタインの生乳と分けて管理する必要があります。独立した受乳タンク※1も必要で、設備投資が不可欠です。それでも「おいしいデザートを作るためなら」と判断し、工場の増強を行いました。ジャージー乳は、それくらい魅力のあるミルクだと思っています。

※1:受乳(じゅにゅう)タンク…毎日届く生乳を、商品の製造前に一時的に保管する大型のタンクのこと。

2層タイプへの挑戦

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ジャージー牛乳プリンは、プリンの上になめらかなクリームをのせた「2層仕立て」になっているのも特長のひとつ。

古川 実は、オハヨー乳業のデザートの歴史は、1992年の焼プリン、そして1999年のジャージー牛乳プリンを発売するまで、かなり紆余曲折を経ていました。一般的なプリンのほかに、和風デザートやフルーツを使ったゼリーなど新規性のある商品を開発・発売していましたが、売上はいまひとつでした。

しかし13年越しの試行錯誤が実を結んだ「焼プリン」の誕生によって、オハヨー乳業のデザートは一躍市場の脚光を浴びます。日本で初めて「こんがりとした焼き目」を付けたオハヨー乳業の焼プリンは大ヒットしました。では、その次はどうするのか?と。そこで焼プリンの立ち上げが落ち着いた1998年ごろ、次の柱となるデザートの開発がスタートしたのです。

戸田 焼プリンがヒットする前の弊社のデザートは、大手メーカーの隙を突くような、どこか奇をてらった商品が多くありました。しかし、デザートの柱とするならば、もっと本質を突いた王道の商品じゃないといけない。

そこで考えたのが、乳業メーカーならではのプリンづくりです。地元ということもあり、希少なジャージー乳を安定して供給していただくことができていたので、そのミルクを使ったデザートの開発に着手しました。

―― 開発は難しかったのでしょうか?

戸田 ミルクを使ったデザートといえば、古くから寒天で固めた「牛乳かん」があります。しかし、それではミルクの持つやさしい風味を生かすことができない。そう考えて、試行錯誤のうえにたどり着いたのが、食感はとろけるようになめらかで、さらに上部にクリームをのせたプリンです。このプリンの形状は、発売当時から今も変わらないジャージー牛乳プリンの大きな特長になっています。

―― そういえば、以前「上部にクリームをのせた2層タイプのプリン」は日本初なのでは?という話も聞いたことがあります。

古川 それを明確に裏付ける資料はないですが…当時の記憶をたどってみても、少なくとも市販品としてはほとんどなかったと思います。

戸田 ほかのプリンとは一味違う、リッチなおいしさのプリンを作りたかったんですね。ミルクプリンだけの単層だと、味が単調で食べている途中で飽きてしまう。そこにクリームをのせることで、味が複雑になり、プリン部分ともメリハリがついておいしさを引き立ててくれる。それは、今も受け継がれているジャージー牛乳プリンならではの特長です。この2層でつくるおいしさを、ぜひ楽しんでいただきたいですね。

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1999年、発売当初のジャージー牛乳プリン(初代)

いかがでしたか?
開発者のこだわりや思いがギュッと詰まったジャージー牛乳プリン、お店で見かけたら、ぜひ手に取ってみてくださいね。それでは!

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